上がり和室の後悔と正解|6,000組の声から

リビング・内装の悩み

「小上がり和室、つくってよかった」と 「やめてよかった」が両方存在する理由

ショールームで家づくりのお話を聞いていると、小上がり和室についての質問は
かなり頻繁に出てきます。それも、「迷っています」ではなく、
「夫(妻)がどうしても欲しいと言っているんですが…」という形で。

どちらかが強く希望していて、もう一方がちょっと乗り気でない。
このパターン、本当に多いんです。

正直に言うと、小上がり和室って、つくった後の評価が真っ二つなんですよね。
「あってよかった!」という方と「なくてよかったかも」という方が、
ほぼ同じくらいいる印象です。他の設備(たとえば食洗機や浴室乾燥機)は
「あってよかった」という声が圧倒的に多いのに、小上がり和室に関してはそうならない。
これはちょっと特殊なケースだと思っています。

今日は、私がショールームで6,000組以上のご夫婦をご案内してきた経験をもとに、
小上がり和室について「後悔した」「正解だった」双方の声と、
判断の分かれ目になるポイントをお伝えしたいと思います。

「つくってよかった」と言う人が持っていたもの

まず、小上がり和室を設けて満足している方たちに共通しているのは、
「具体的な使い方をイメージできていた」という点です。これが一番大事だと私は思っています。

印象に残っているのは、お子さんが当時1歳だったご夫婦のケース。
奥さまが「昼間、子どもをここで昼寝させたい。リビングにいながら目が届くのがいい」と、
すごく具体的なビジョンをお持ちでした。その方は入居後しばらくして「毎日活躍してます!」と連絡をくださいました。確かにその使い方なら、小上がりのメリットが存分に生きますよね。
フローリングと違って転落しても段差が小さいし、目線もリビングと繋がっている。

他によく聞く「つくってよかった」パターンをまとめると——

  • 小さい子どもがいて、リビングの延長として使いたい方
  • 親御さんが泊まりに来ることが多く、和室の客間が欲しかった方
  • 畳でごろごろしたいというライフスタイルが明確にある方
  • 床下収納として大型の季節用品を収納したかった方

特に最後の「収納目的」は盲点になりやすいです。小上がりの高さ(30〜40cm程度が多い)を
利用した引き出し収納は、扇風機・ストーブ・スノーボード用品・お正月飾りなど、
頻繁には使わないけど場所を取るものの定位置になります。これが思った以上に便利だという声をよく聞きます。

「やめてよかった」と言う人が最初に言っていたこと

一方、小上がり和室を検討段階でやめた方、あるいはつくったけど後悔している方の声は
どうでしょうか。

後悔のパターンで一番多いのは、「なんとなく欲しかっただけだった」という気づきです。
子どものころの実家に和室があったから、なんとなくあると安心、という感覚で設けたものの、
実際はほとんど使っていない——そういうお話を複数のお客様から聞いたことがあります。

あと、これは意外と多いんですが、「掃除が面倒」という声。
ロボット掃除機を使っている家庭では、段差があることでそこだけ別途手作業になるんですよね。リビングと一体感を持たせたかったのに、逆に分断されたように感じる、という方もいました。

ちょっと脱線しますが、私が案内した中で特に印象的だったのは、
「夫が強く主張したからつくったけど、夫が一番使ってない」とおっしゃっていた奥さまです笑。聞くと、ご主人は打ち合わせの段階では「ここで読書する」とイメージしていたけれど、
実際は大きなソファのほうが快適で…という。
空間の使い方って、イメージと現実がずれやすいものなんです。

よくある「後悔」のパターンをまとめると——

  • 「なんとなく欲しい」という漠然とした理由でつくった
  • ロボット掃除機を使いたいのに段差がある
  • 子どもが成長して落下リスクのある時期が終わったら使わなくなった
  • リビングの床面積が思ったより狭くなった
  • 将来、段差がバリアフリー的に問題になるかもしれないという不安

判断の分かれ目になる「3つの問い」

迷っているご夫婦にショールームでよくお伝えするのは、次の3つの問いかけです。
この答えが明確かどうかで、小上がり和室が「あってよかった」になるかどうかが、
ある程度見えてきます。

1. 「今後5年間、この空間をどう使うか」が具体的に言えるか

「子どものうちは遊び場、大きくなったら客間」というのは一見論理的に見えますが、
実はかなり曖昧です。子どもが小学生になったら「いや、ゲームはリビングでやりたい」となることも多いですし、客間として使うなら寝具をどこに収納するかも含めて考えないといけない。

「来月から1年間、この部屋を週に何回使うか」くらいまで具体的にイメージできれば、
それは本当に必要なものです。

2. ロボット掃除機を使っているか(あるいは使いたいか)

これ、地味に大事な確認ポイントです。段差があると、ロボット掃除機は乗り越えられないことが多い。和室部分だけ別途掃除する手間が増えます。「それくらい平気」という方と「それは嫌だ」という方では、快適さが大きく変わります。

3. その広さを「フラットな床」にした場合、何をするか

小上がり和室に使う4〜6畳をフラットなリビング延長にしたら何をするか、
というのを考えてみてください。子どもの遊びスペース、ダイニングの拡張、スタディコーナー。もしそっちのほうが魅力的に感じたなら、正直、和室にしない方がいいかもしれません。

「畳リビング」という選択肢も

あ、大事なことを言い忘れていました。

最近は「小上がり」ではなく「フラット和室」というオプションを選ぶご夫婦も増えてきました。段差をなくし、琉球畳や和紙畳などをリビングの一角に敷くスタイルです。

これだとロボット掃除機問題も解決できるし、バリアフリー的にも安心。
「和の雰囲気は欲しいけど、段差はいらない」というご夫婦にはかなり向いています。
床下収納の恩恵は受けられなくなりますが、そこにそこまでの価値を感じていない方なら
十分選択肢になります。

小上がり和室が話題になるとき、「つくるかつくらないか」の二択で語られることが多いんですが、実はその間にフラット和室という中間地点もあるんですよね。

参考までに、3タイプの特徴を簡単に整理しておきます。

タイプ 段差 床下収納 ロボット掃除機 バリアフリー こんな人向け
小上がり和室 あり(30〜40cm) ◎ 大容量 × 別途必要 収納重視・小さな子どもがいる
フラット和室 なし × なし ○ 可能 和の雰囲気は欲しいが段差は不要
和室なし なし × なし ◎ スムーズ 広いリビングを優先したい

こうして並べてみると、「小上がり和室にしかできないこと」って実はそんなに多くないんですよね。床下収納は確かに魅力的ですが、それだけのために設けるのはコスト的にも空間的にも割高になることが多い。

ちなみにフラット和室の場合、畳の種類によって印象がかなり変わります。
昔ながらのイ草畳だとどうしても「和風な部屋」になりますが、
和紙畳は色のバリエーションが豊富で、グレーや深緑など、モダンなリビングにも自然に馴染みます。これはショールームでサンプルを実際に見てみると驚く方が多い部分です。

ショールームでよく見る「うまくいかない相談」のパターン

最後に一点だけ。

小上がり和室の話し合いがうまくいかないご夫婦の多くは、
「和室がいる・いらない」の議論をしています。でも本当に合わせるべきは、
「この家でどういう暮らしをしたいか」というビジョンのほうです。

和室を欲しいと言っている方が本当に求めているのは、「ゆるやかな時間が流れる場所」
かもしれないし、「子どもが思い切り転がれる空間」かもしれない。
それが明確になれば、和室という答えになることも、ならないこともある。

「小上がり和室が欲しい」という言葉の裏にある、その人の暮らしのイメージを一緒に言語化してみてください。そこから始めると、夫婦の意見が思ったよりすんなり近づくことが多いです。

これが正解とは言い切れないんですが、私がショールームでずっと見てきた中でいえば、
「なんとなく欲しい」より「こういう暮らしをしたいから必要」
という理由があるご夫婦のほうが、入居後の満足度が明らかに高かったです。

ぜひ、今日のお話を参考にしてみてください。

このブログ「家づくり夫婦ラボ」は、ショールームコーディネーターとして9年間・延べ6,000組以上のご夫婦をご案内してきた経験をもとに、家づくりのリアルな情報をお届けしています。
水回り・内装・間取りのことで迷っているご夫婦の、小さなヒントになれたら嬉しいです。

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