「収納がほしい」vs「広く見せたい」リビングで夫婦が止まる瞬間

リビング・内装の悩み

「収納がほしい」vs「広く見せたい」──リビングで夫婦が止まる瞬間

ショールームでリビングの打ち合わせをしていると、こんな場面によく出会いました。

「リビングには絶対に壁面収納をつけたい」と妻が言う。
すると夫が「いや、収納を増やしたらリビングが狭くなるだろ」と返す。

どちらも間違っていません。
でも、この会話が平行線になると、打ち合わせが止まります。
設計士さんも困った顔をして、「ご夫婦で方向性を決めてきてください」と言うしかない。

実はこの「収納か広さか」問題、
私がコーディネーター時代に最も多く遭遇した相談のひとつです。
年間何十組ものご夫婦を見てきましたが、最初から意見が一致していたケースは
ほとんどありませんでした。

こんな経験、ありませんか?
この記事では、リビングの「収納」と「広さ」で夫婦が揉める原因と、
後悔しない決め方をお伝えします。

よくある夫婦のすれ違いパターン

パターン① 「散らかるのがイヤ」vs「開放感がほしい」

妻の本音は「リビングをいつもスッキリ保ちたい」。
だから収納をたっぷりつけて、モノを全部しまいたいのです。

一方、夫の本音は「せっかくの新築なんだから広いリビングがいい」。
友人を呼んだとき、ゆったり過ごせる空間に憧れています。

私がショールームで実際に聞いた会話です。
「収納つけたら、ソファの位置がなくなるじゃん」と夫が言いました。
妻は「じゃあ散らかったリビングで友達を呼ぶの?」と返しました。

お互い「快適なリビング」を目指しているのに、ゴールが違う。
これがすれ違いの正体です。

パターン② 「今」の暮らしだけで決めてしまう

二人暮らしのうちは、モノが少ないからリビング収納は要らない。
そう思って広さ優先で設計した方がいました。

ところが子どもが生まれると、おもちゃ・絵本・着替えがリビングにあふれます。
「あのとき収納をつけておけばよかった」という後悔は、本当によく聞きました。

逆もあります。
子育てを想定して壁面収納をたっぷりつけた結果、子どもが巣立ったあとに
「この収納、空っぽなのに圧迫感だけある」という声も。

つまり「今」だけでも「将来」だけでもダメなのです。
5年後、10年後にどう暮らしているかを夫婦で話し合うことが、収納計画の出発点になります。

なぜこのすれ違いが起きるのか

理由はシンプルです。
「収納」と「広さ」は、同じ面積を取り合う関係にあるからです。

リビングの面積は限られています。
壁面収納を1か所つけると、その分だけ壁が「使われて」しまう。
ソファやテレビの配置にも影響が出ます。

さらに、「収納がほしい」側と「広さがほしい」側では、見ている時間軸が違います。

収納派は「毎日の片づけやすさ」を見ています。
つまり、日々の生活動線や家事の手間を減らしたいのです。

広さ派は「リビングに入った瞬間の気持ちよさ」を見ています。
つまり、空間の印象や居心地のよさを大切にしているのです。

どちらも大切なのに、片方しか語らないから噛み合わないのです。

コーディネーターが使っていた「解決の問いかけ」

私はこの場面で、いつもこう聞いていました。

「リビングに”置きっぱなしにしたいモノ”って、いくつありますか?」

多くの方が一瞬キョトンとします。
でも、考えてみると出てくるのです。

「リモコンは手の届くところに置きたい」
「ティッシュとウェットシートは出しておきたい」
「子どもの連絡帳はすぐ取れるようにしたい」

あるご夫婦は、10個以上あると思っていたのに、数えたら5つしかありませんでした。
「あれ、意外と少ないね」と二人で笑っていたのが印象的です。

実際に出してもらうと、意外と数は少ないんです。
つまり、「しまいたいモノ」と「出しておきたいモノ」を分ければ、
必要な収納量が見える
のです。

もうひとつ、こんな問いかけもしていました。

「リビングで一番イヤなのは、”狭いこと”と”散らかっていること”、どっちですか?」

夫婦でこの質問に答えると、優先順位が見えてきます。
「散らかるのが絶対イヤ」なら、収納を優先して配置を工夫する。
「狭いのが絶対イヤ」なら、リビング以外に収納を分散させる。

面白いのは、夫婦で答えが違っても「相手がそっちを大事にしているんだ」とわかるだけで空気が変わることです。
「なんでわかってくれないの」が「なるほど、そこが気になるんだね」
に変わる瞬間を何度も見てきました。

この2つの問いかけだけで、多くのご夫婦の議論が前に進みました。

収納と広さを両立させる5つのポイント

1. 壁面収納は「奥行き30cm」で圧迫感を減らす

一般的な収納の奥行きは45cmですが、リビング収納なら30cmで十分なことが多いです。
文房具・書類・薬箱・リモコン類は30cmに収まります。
たった15cmの差ですが、リビングの印象は大きく変わります。

さらに、扉を天井まで伸ばすと壁と一体化して、収納があるのに圧迫感が出にくくなります。
「収納をつけた」と感じさせない見た目になるので、広さ派も納得しやすいです。

2. 「見せる収納」と「隠す収納」を半々にする

すべて扉付きにすると圧迫感が出ます。
オープン棚と扉付きを半々にすると、飾り棚としても使えて一石二鳥です。
「広さ派」の夫も「収納派」の妻も納得しやすい折衷案です。

お気に入りの雑貨や写真を飾るスペースにもなるので、「収納だけど、インテリアの一部」という見せ方ができます。

3. リビング横にファミリークローゼットを検討する

リビング内に収納を詰め込まなくても、隣にファミクロがあれば解決します。
上着・カバン・子どもの通園グッズはリビングに持ち込まない動線を作れます。
間取りに余裕があれば、これが最も満足度の高い方法です。

私が担当したあるご家庭では、リビング横に2畳のファミクロを設けました。
「帰ってきたらまずここに荷物を置く」というルールができて、
リビングが散らからなくなったそうです。
夫も「広いリビングが保てるし、片づけも楽」と大満足でした。

4. 造作収納は「あとから棚板を増やせる」設計にする

ライフステージが変わると、収納したいモノも変わります。
可動棚にしておけば、子育て期はおもちゃ棚、将来は本棚に変えられます。
「今だけ」で決めないことが後悔を防ぐコツです。

固定棚にしてしまうと、モノのサイズが合わなくなったとき困ります。
棚板の高さを自由に変えられるダボレール式なら、将来の変化にも柔軟に対応できます。

5. 数字で比較する

「広い」「狭い」は感覚なので、夫婦で基準が違います。
ショールームや展示場で、収納あり・なしの実物を見比べてみてください。
「このリビング何畳に見える?」とお互いに聞き合うだけで、感覚のズレがわかります。

実際に「18畳のリビングに壁面収納をつけたら16畳相当の広さになる」と数字で見せると、
判断しやすくなります。
感覚ではなく数字で話すと、お互い冷静に比較できるのでおすすめです。

まとめ

  • リビングの「収納vs広さ」は、夫婦で見ている時間軸やゴールが違うから揉める
  • 「置きっぱなしにしたいモノはいくつ?」の問いかけで、必要な収納量を明確にする
  • 奥行き30cm収納・ファミクロ併用・可動棚など、広さと収納を両立する方法はある

「収納がほしい」も「広くしたい」も、どちらも正解です。
大切なのは、お互いが何を一番大事にしているか、言葉にすること。
この記事が、お二人のリビング計画を前に進めるきっかけになれば嬉しいです。

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