「とりあえずショールーム行こう」が失敗のはじまり
「まだ何も決まってないけど、とりあえず見に行こう」
こんなふうにショールームへ向かった経験、ありませんか?
実はこの「とりあえず」が、夫婦の意見がまとまらなくなる一番の原因なんです。
私はLIXILのショールームでコーディネーターをしていました。
そこで何百組ものご夫婦を見てきましたが、スムーズに決まるご夫婦とモメてしまうご夫婦には、はっきりとした違いがありました。
それは「プロに相談する前の準備」ができているかどうかです。
この記事では、コーディネーター経験から見た
「相談前にやっておくだけで、夫婦の話し合いがラクになる準備」をお伝えします。
よくある夫婦のすれ違いパターン
パターン① 情報量の差が「置いてきぼり」を生む
ショールームでよく見かけたのが、こんな場面です。
奥さまがInstagramやPinterestで何ヶ月もリサーチして、理想のイメージが固まっている。
一方、旦那さまは「任せるよ」と言いつつ、当日初めて実物を見る。
コーディネーターが説明を始めると、奥さまはどんどん質問する。旦那さまは黙ったまま。
そして最後に旦那さまがポツリ。
「……それ、本当に必要?」
この一言で、空気が凍るんです。
奥さまからすれば「何ヶ月も調べたのに否定された」。
旦那さまからすれば「いきなり高額な話をされても判断できない」。
どちらの気持ちもわかりますよね。
でもこれ、事前の情報共有さえしていれば防げたすれ違いなんです。
パターン② 「何を決めに来たか」が夫婦でズレている
もうひとつ多かったのが、来店の目的がバラバラなパターンです。
奥さまは「キッチンの色を最終決定したい」と思っている。
旦那さまは「まだ下見のつもり」で来ている。
コーディネーターが「では、こちらでよろしいですか?」と確認すると、奥さまは「はい!」、
旦那さまは「え、今日決めるの?」。
実際にこう言ったご夫婦がいました。
旦那さま:「俺はまだ見てるだけのつもりだったんだけど」
奥さま:「え、だから今日決めようって言ったじゃん」
旦那さま:「そうだっけ……」
目的のすり合わせをしないまま来ると、こうなります。
なぜこのすれ違いが起きるのか
原因はシンプルです。「家づくりへの関わり方」が夫婦で違うからです。
多くの場合、どちらか一方が主体的に情報収集をしています。
もう一方は仕事が忙しかったり、「相手に任せよう」と思っていたりする。
これ自体は悪いことではありません。役割分担は自然なことです。
問題は、「自分がどこまで知っていて、相手がどこまで知らないか」をお互い把握していないこと。
リサーチした側は「これくらい当然知ってるよね」と思い込む。
していない側は「まだ何も決まってないんでしょ?」と思っている。
このギャップが、ショールームやハウスメーカーの打ち合わせで一気に表面化するんです。
コーディネーターが使っていた「解決の問いかけ」
私がご夫婦に最初にお聞きしていたのは、こんな質問でした。
「今日のゴールは何ですか?見るだけですか、それとも何か決めたいですか?」
たったこれだけで、ご夫婦の目線が揃うんです。
「あ、今日は決めるつもりで来たんだね」「いや、俺はまだ見るだけかな」
——この会話がショールームに来る前にできていたら、もっとラクだったのに。
そう感じることが何度もありました。
だからこそ、プロに相談する「前」の準備が大事なんです。
もうひとつ、私がよく使っていた問いかけがあります。
「おふたりの中で、”これだけは絶対”というポイントはありますか?」
「絶対」をひとつだけ出してもらう。すると不思議なことに、それ以外の部分では柔軟になれるんです。
あるご夫婦は、奥さまが「食洗機だけは絶対」、旦那さまが「見た目のスッキリ感だけは絶対」と出し合いました。結果、ビルトイン食洗機にすることで両方叶えられると気づき、10分で決まりました。
プロに相談する前にやっておきたい3つの準備
コーディネーター時代の経験から、これだけやっておけば打ち合わせがスムーズになる準備を3つお伝えします。
準備① 「今日のゴール」を夫婦で共有する
ショールームや打ち合わせに行く前に、車の中でもいいので一言確認してください。
「今日は何を決める日? それとも見るだけの日?」
これだけで、打ち合わせ中の「え、今日決めるの?」がなくなります。
準備② 調べた情報を「3つだけ」相手に共有する
リサーチ担当の方は、調べた内容を全部伝えようとしないでください。情報が多すぎると、
相手は「もう決まってるなら聞く意味ないじゃん」と感じてしまいます。
コツは「気になってるポイントを3つだけ」伝えること。
たとえば「キッチンの色は白か木目で迷ってる」「食洗機は深型がいいらしい」
「予算はこのくらいみたい」——この3つで十分です。
相手も「なるほど、そのあたりを見ればいいのか」と準備ができます。
準備③ 「絶対ゆずれないこと」を1つずつ決めておく
夫婦それぞれ、「これだけは絶対ゆずれない」を1つだけ決めてから行きましょう。
1つだけ、というのがポイントです。3つも5つも出すと、それは「全部ゆずれない」と同じです。
「俺は書斎だけは絶対ほしい」「私はキッチンの使いやすさだけは絶対ゆずれない」。
これが出ていれば、プロも提案しやすくなりますし、お互いが歩み寄るベースができます。
準備ゼロで来たご夫婦に起きたこと
ショールームで印象的だったエピソードがあります。
あるご夫婦は、予約なし・下調べなしでフラッと来店されました。
奥さまはSNSの画像を見せて「こういうキッチンがいいんです」と話す。
旦那さまは腕を組んで黙っている。
私が旦那さまに「何か気になる点はありますか?」と聞くと、こう返ってきました。
「正直、全部よくわかんないです。妻に任せます」
でも見積もりを出した瞬間、態度が変わりました。
「え、キッチンだけでこんなにするの? 聞いてないんだけど」
奥さまの顔が曇る。空気が重くなる。
この場面、本当に何度も見ました。
「聞いてない」のではなく、「聞く準備ができていなかった」んです。
逆に、事前に「予算は○○万円くらい」「この機能は優先したい」と共有できていたご夫婦は、
同じ見積もりを見ても「じゃあここを削ろうか」と前向きに話し合えていました。
まとめ
プロに相談する前の準備、ポイントは3つです。
- 「今日のゴール」を夫婦で確認する——見るだけか、決めるか、一言でOK
- 調べた情報は「3つだけ」共有する——全部伝えなくていい、ポイントだけ
- 「絶対ゆずれないこと」を1つだけ決めておく——1つに絞るから、残りで歩み寄れる
家づくりは夫婦の一大プロジェクトです。準備といっても、難しいことは何もありません。
ショールームに行く前の車の中で、5分だけ話す。
それだけで、打ち合わせの空気はガラッと変わります。
「何も決めずに来ちゃったけど大丈夫かな……」と不安な方も安心してください。
この記事を読んだ今が、準備のスタートです。
家づくり夫婦ラボでは、元ショールームコーディネーターの経験をもとに、
夫婦の「ちょうどいい」を見つけるヒントをお届けしています。



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