背面収納でもめるパターン、だいたい決まってる
ショールームでキッチンを選んでいると、「背面収納どうしますか?」という話になった瞬間、
夫婦の意見が割れることがよくあります。
「わたしはガラス扉がいい。見せる収納にしたい、カフェっぽくなるから」
「でも片付けが大変じゃない?扉で隠せるタイプのほうが絶対楽だと思う」
どちらも一理あるんですよね。問題は、ふたりが「理想の見た目」と「実際の暮らしやすさ」
という、それぞれ別の軸で話していることが多いこと。噛み合わないのも当然です。
私はショールームコーディネーターとして9年、延べ6,000組以上のご夫婦を案内してきました。その経験から言うと、「見せる・隠す」の問題はセンスの話ではなく、
「その家での片付けの現実」の話です。そこが整理できると、
不思議と意見のすり合わせが楽になります。
まず前提として:背面収納のタイプを整理
一口に「背面収納」といっても、いくつかのタイプがあります。ざっくり分けるとこんな感じです。
| タイプ | 特徴 | 向いている人の傾向 |
|---|---|---|
| ガラス扉(見せる) | 中が見えておしゃれな印象。来客時にも映える。 | 食器を整えておける人、インテリアにこだわりがある人 |
| 板扉(隠す) | すっきりとした見た目。中が雑然としていても外観はきれい。 | 食器が多い・種類がばらばらな人、片付けに自信がない人 |
| オープン棚 | 出し入れしやすく、毎日使うものを置くのに便利。 | 少数精鋭の食器にまとめられる人、インテリア上手な人 |
| 混合タイプ | 上はガラス・下は板扉など組み合わせ。 | 見せたいものとしまいたいものが明確に分かれている人 |
あ、大事なことを言い忘れていました。この表はあくまで「向いている人の傾向」であって、
正解ではありません。どんなタイプでも自分たちの暮らし方に合わせれば後悔しにくくなります。
決める前に確認したいチェックリスト
ショールームでご夫婦に実際に聞いていた確認事項をまとめてみました。
「見せる・隠す」どちらが向いているか、目安になると思います。
見せる収納が向いている人チェック
- 食器の数は少なめ(茶碗・皿・グラス合わせて30点以下くらい)
- 使っていない食器は定期的に処分できる
- 食器の色味やブランドにある程度こだわりがある
- 来客時に「キッチンを見せたい」という気持ちがある
- ガラス面の拭き掃除が苦にならない
4つ以上当てはまるなら、見せる収納でも後悔しにくいはずです。
3つ以下だと……正直、あとから「扉があればよかった」となるケースが多い。
隠す収納が向いている人チェック
- 食器の数が多い、または今後増える予定がある
- 調理器具・家電をキッチン周りにまとめて置きたい
- 「とにかく生活感を出したくない」という気持ちが強い
- 毎日きっちり整えるより「とりあえず閉まれば良い」スタイルに近い
- 将来子どもが増えるなど、荷物が増える見込みがある
こちらも4つ以上当てはまるなら、板扉タイプを中心に選ぶのが無難です。
うまくいった夫婦に共通していたこと
見せる・隠すで意見が割れたとき、折り合いをつけたご夫婦に共通していたのは
「エリアを分けること」でした。
たとえば、奥さんが見せたい派・旦那さんが隠したい派だったあるご夫婦。最終的に選んだのは、上段だけガラス扉・下段はしっかり板扉という混合タイプでした。
上段にお気に入りのカップやグラスを並べて、下段に調理器具や保存容器をざっとしまう。
そういうスタイルにしていました。
確かそのとき旦那さんが「上は好きにしていいけど、下は絶対に閉まってほしい」
とおっしゃっていたんですが、それがすごく的確な言語化で。お互いの「譲れない部分」が言語化できると、混合タイプという選択肢が自然に浮かんでくるんです。
逆に難しかったのは、ふたりとも「こうしたい」は言えるのに、
「なぜそうしたいか」が出てこないケースです。見た目の好みは一致しているのに、
実際の暮らし方のイメージが全然違う夫婦も少なくなくて……
これが正直いちばん時間がかかります。
私の個人的な見解(少し偏ってます)
どちらかというと、私は「迷ったら隠す方向」を勧める派です。
理由は単純で、隠す収納から見せる方向に変えることはできますが
(中身を減らしてガラス扉に入れ替えるのは比較的簡単)、
見せる収納を後から隠すのはちょっと大掛かりになります。
「やっぱり扉がほしかった」という後悔の方が、現場では多く聞きました。
あと正直なことを言うと——新居に引っ越した直後は片付けへのモチベーションが高いので、
「見せる収納でも全然大丈夫」と思いがちです。でも5年後、10年後にそのモチベーションが続くかどうかは誰にもわからない。そこだけは頭の片隅に置いておいてほしいなと思います。
これが絶対の正解とは言い切れませんが、後から柔軟に対応できる選択肢を残しておくというのが、私のスタンスです。
ショールームで聞かれるもう一つの悩み:奥行きと高さ問題
少し話がそれますが、背面収納を決めるときに「見せる・隠す」と同じくらいよく出てくるのが、「奥行き何cmにするか」「背丈に合う高さか」という話です。
特に身長差のある夫婦だと、「わたしが使いやすい高さにしたら、夫が使えない」という状況が起きやすい。そこはカウンター高さや吊り戸棚の有無にも関わってくるので、見た目の好みを決める前に確認しておくと後で楽です。
(余談が長くなりましたが、背面収納の奥行き・高さについてはまた別の機会に詳しく書こうと思っています)
最後に
「見せるか隠すか」は、センスの問題でも優劣の問題でもありません。それよりも、10年後の自分たちがどんな使い方をしているかを、今の段階でどこまでイメージできるかという話だと思っています。
今日のチェックリストが、ショールームで迷ったときの整理に少しでも役立てば嬉しいです。
私はショールームコーディネーターとして、水回りに関する家づくりの疑問や夫婦のすり合わせについて、このブログで発信しています。似たような悩みがある方の参考になれば幸いです。



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