「うちはIHにしよう」「いや、絶対ガスがいい」——
ショールームで何度もこのやりとりを見てきました。キッチンの火元は毎日使うからこそ、
どちらも譲れないんですよね。
この記事では、IHとガスコンロで夫婦の意見がぶつかる「本当の原因」と、
ショールームコーディネーター時代に実際に使っていた「解決の問いかけ」をお伝えします。読み終わるころには、ふたりで納得できる決め方が見えてくるはずです。
よくある夫婦のすれ違いパターン
パターン①「料理好きの妻 vs 安全重視の夫」
いちばん多いのがこのパターンです。奥さまが「中華鍋を振りたいからガスがいい」と言い、旦那さまが「子どもが小さいからIHのほうが安心」と返す。
どちらの気持ちもわかりますよね。
実際にショールームで対応したご夫婦も、まさにこれでした。
奥さまは「炒め物の火力が全然違う」とおっしゃり、
旦那さまは「火事のニュースを見るたびに怖くなる」と答えていました。
パターン②「掃除のラクさ vs 光熱費のリアル」
もうひとつ多いのが、掃除と費用の優先度が違うケースです。
「IHはフラットだから拭くだけでいい」という声と、
「オール電化にすると電気代が心配」という声。このすれ違いは、
数字で見えるものと日々の手間という、比較しにくいもの同士がぶつかるから
解決しにくいんです。
なぜこのすれ違いが起きるのか
じつは、IHかガスかで揉めるご夫婦には共通点があります。
それは「判断の基準」がそれぞれ違うことです。
片方は「調理の体験」を基準にしています。
火の見える安心感、鍋を振る感覚、焼き目のつき方。
もう片方は「暮らしの安全や効率」を基準にしています。
掃除のしやすさ、火災リスク、ランニングコスト。
どちらが正しいという話ではありません。
そもそも見ている軸が違うから、話がかみ合わないんです。
私がショールームで気づいたのは、「IHがいい」「ガスがいい」と言い合っているご夫婦は、じつはコンロの話をしているようで「暮らしの優先順位」の話をしているということでした。
コーディネーターが使っていた「解決の問いかけ」
私がよく使っていたのは、こんな問いかけです。
「もし使ってみて”やっぱり違ったな”と思ったとき、どちらのほうがダメージが大きいですか?」
この質問をすると、ほとんどのご夫婦が一瞬止まります。
そして「ガスにして火事が怖いと思い続けるほうが嫌だな」とか
「IHにして料理がつまらなくなるほうがつらい」とか、本音が出てくるんです。
あるご夫婦にこの問いかけをしたとき、
旦那さまが「正直、自分は料理しないから、妻がストレスなく使えるほうがいい」とおっしゃいました。
奥さまは「でも子どもの安全は私も気になってた」と返しました。
そこから初めて「じゃあIHにして、火力が欲しいときはカセットコンロを使おうか」
という折衷案が出てきたんです。
もうひとつ効果的だった問いかけがあります。
「今のお住まいではどちらを使っていますか?不満はありますか?」
意外と「今ガスだけど特に不満はない」という方が、新築では「せっかくだからIHにしたい」と言っていたりします。逆に「今IHで火力に不満がある」という方は、実体験があるぶん説得力がありますよね。今の暮らしの延長で考えると、冷静に判断できることが多いんです。
後悔しないための選び方ポイント
ここからは、実際に選ぶときに押さえておきたいポイントをお伝えします。
①「誰がいちばん使うか」で主導権を決める
毎日キッチンに立つ人の意見を軸にするのが鉄則です。
週末だけ料理する人と、毎日3食つくる人では、優先順位が違って当然です。
ただし、安全面は家族全員に関わるので、そこだけは共有して話し合いましょう。
②ショールームで「両方触る」は必須
カタログだけで決めると後悔しやすいです。IHは実際に触ると「思ったより火力がある」と驚く方が多いですし、最新のガスコンロは「こんなに掃除しやすいの?」と感じる方もいます。思い込みをリセットするために、ふたりで一緒に体験するのが大事です。
③「変更コスト」を知っておく
あとから変えられるかどうかも重要です。ガスからIHへの変更は電気工事が必要ですし、
IHからガスへの変更はガス管の引き込みが必要です。
新築時にどちらの配管・配線も準備しておくという選択肢もあります。
将来の選択肢を残せるか、建築会社に確認しておくと安心です。
④「オール電化」とセットで考えない
IH=オール電化と思い込んでいる方が多いのですが、ガス併用でIHを入れることも可能です。逆にオール電化にするならIH一択になりますが、
「コンロだけ」で考えると選択肢は広がります。
住宅全体のエネルギー計画と切り離して、まずコンロ単体で考えてみてください。
まとめ
最後に、今日のポイントをまとめます。
- IHかガスかで揉めるのは「判断の基準」が夫婦で違うから。まずはお互いが何を大事にしているかを言葉にすることが第一歩です。
- 「後悔したときのダメージが大きいのはどっち?」という問いかけで本音を引き出すと、意外とすんなり方向が見えてきます。
- ショールームで両方体験してから決めると、思い込みが外れて冷静に選べます。
IHかガスかは「正解のない選択」です。だからこそ、ふたりで話し合って決めたという過程が、あとからの満足感につながります。「あのとき一緒に決めたよね」と言える家づくりを、応援しています。
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「家づくり夫婦ラボ」では、元LIXILショールームコーディネーターの経験をもとに、夫婦の家づくりがもっとラクに・楽しくなるヒントを発信しています。
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