「パントリーは絶対ほしい!」「そのスペース、リビングに回さない?」——パントリーで止まる夫婦の話

間取り・動線の悩み

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「パントリーは絶対ほしい!」「そのスペース、リビングに回さない?」

間取りの打ち合わせで、こんなやり取りになっていませんか。

「まとめ買い派だからパントリーがないと困る」と妻が言う。
すると夫は「そんな部屋いる?棚つけとけばよくない?」と返す。

パントリーをめぐる議論は、ショールームでも本当に多かったです。
しかも、建てた後に「つけなきゃよかった」「つければよかった」と後悔する声がどちらも多い。

この記事では、パントリーの有無で夫婦が揉める原因と、
後悔しないための判断の仕方をお伝えします。

よくある夫婦のすれ違いパターン

パターン①「収納がほしい」vs「広さがほしい」

もっとも多いのがこのパターンです。

料理や買い物を担当する側は、ストック品の置き場に困っている。
「お米、缶詰、調味料のストック……キッチンに全部入らない」と訴えます。

一方、間取り全体を気にする側は、限られた面積を意識する。
「パントリーに1畳使ったら、リビングが1畳狭くなるよ」と計算する。

私がショールームで聞いた会話で印象的だったのは、
旦那様の「パントリーって結局、物置になるだけじゃん」という一言。
奥様の表情が一瞬固まったのを今でも覚えています。

この言葉の裏には「散らかる場所が増えるだけ」という不安があるんです。
でも奥様にとっては「日々のキッチン作業を楽にしたい」という切実な願い。
同じ空間について、まったく違う未来を想像しているんですね。

パターン②「なくても困らないでしょ」vs「ないと絶対後悔する」

もうひとつ多いのが、経験値の差から生まれるすれ違いです。

実家にパントリーがあった人は「あって当然」と考えます。
実家になかった人は「なくても生活できてた」と感じる。

あるご夫婦の会話がまさにそうでした。
奥様は「実家のパントリーがすごく便利だったから絶対ほしい」と言い、
旦那様は「うちの実家はなかったけど何も困ってなかった」と返す。

どちらも正しいんです。
でも「自分の実家基準」だけで判断すると、新しい暮らしに合わない可能性がある。
共働きでネットスーパーを使うのか、週末にまとめ買いするのか。
大切なのは「これからの暮らし方」で考えることです。
過去の実家ではなく、これから始まる2人の生活リズムが判断基準になります。

なぜこのすれ違いが起きるのか

パントリー問題の根っこには、「買い物スタイルの違い」があります。

週1回まとめ買いする家庭と、毎日少量ずつ買う家庭では、必要な収納量がまったく違います。
コストコやネットスーパーでまとめ買いする習慣があるなら、置き場は必須です。

さらに「見えない家事」への理解差も関係しています。

在庫管理、買い出し計画、食品のローテーション。
これらを担当していない側は、収納の重要性を実感しにくいんです。
「棚をつければ済む話」と感じるのは、日常的に在庫管理をしていないから。

つまりパントリーの議論は「間取りの話」に見えて、
実は「家事への解像度の差」が表面化する瞬間なんです。
だからこそ、間取り図を眺める前に、
まず日々の食品管理の実態を共有することが大切になります。

コーディネーターが使っていた「解決の問いかけ」

私がショールームでよく使っていた問いかけがあります。

「いま、キッチンに入りきらなくて別の場所に置いている食品はどれくらいありますか?」

この質問をすると、具体的な量が見えてきます。

あるご夫婦は「リビングの棚にお米とカップ麺の箱が常にある」と答えました。
旦那様がそれを聞いて「あ、確かにあれ邪魔だよね……」と気づく。
抽象的な「パントリーほしい」よりも、具体的な物量を共有する方が伝わるんです。

もうひとつの問いかけはこちらです。

「パントリーがなかったとして、その食品をどこに置きますか?」

この質問で「代替案」を考えてもらいます。
キッチンの背面収納で足りるのか、床下収納で対応できるのか。
代替案がスムーズに出てくるなら、パントリーはなくても大丈夫かもしれない。
「どこにも置けない」となるなら、パントリーの必要性は高いと判断できます。

後悔しないパントリーの判断基準

① 「週にどれくらい買い物するか」を2人で共有する

まずは1週間の買い物量を可視化してみてください。
冷蔵庫に入らないストック品がどれくらいあるか、写真で記録する。
実際の物量を見せ合うと、必要な収納量の認識がそろいやすくなります。

買い物量を記録するとき、スマホのメモより「書いて貼れるホワイトボード」が便利です。
冷蔵庫横に貼っておけば、在庫の見える化がすぐにできます。

 

②「パントリーなし」で代替できるか検証する

パントリーの代わりになる選択肢も考えてみましょう。

  • キッチン背面の壁面収納を高さいっぱいまで使う
  • カップボードの上段をストック食品専用にする
  • キッチン横に奥行き30cmの薄型収納を設ける

これで十分なら、パントリー分のスペースを他に回せます。
逆にどの代替案も「足りない」と感じるなら、パントリーの優先度は高いです。

③ つくるなら「動線」と「換気」を最優先に

パントリーをつくると決めたら、2つのポイントが大切です。

まず動線。キッチンから2歩以内でアクセスできる位置が理想です。
離れた場所に作ると、面倒になって使わなくなるリスクがあります。
実際に「廊下の突き当たりにパントリーを作ったけど、遠すぎて使わなくなった」
という後悔の声はとても多いです。

次に換気。密閉空間は湿気がこもりやすい。
小さな換気扇か、通気用のスリットを設けると食品の劣化を防げます。
特に梅雨時期は、締め切ったパントリーの中が蒸し暑くなりがちです。
缶詰はまだしも、乾麺やお菓子類は湿気で一気にダメになることもあります。

照明も忘れがちなポイントです。
奥まった場所に作ることが多いので、中が暗いと使いにくい。
人感センサー付きのLEDライトをつけておくと、両手がふさがっていても安心です。

また、パントリー内の収納は「奥行き浅め×棚数多め」が鉄則。
奥行きがありすぎると、奥のものが見えなくなって賞味期限切れが頻発します。
パントリーの棚を整理するなら、透明の収納ボックスを使うと中身が一目瞭然です。

 

まとめ

  • パントリーの要不要は「いまキッチンに入りきらない物量」で判断する
  • 代替収納で対応できるか検証し、「なくても大丈夫」か確かめる
  • つくる場合はキッチンから2歩以内の動線+換気を最優先に設計する

パントリーは「あったら便利」で終わらせず、「自分たちの買い物スタイルに合っているか」
で決めるのが後悔しないコツです。
間取りの打ち合わせに入る前に、ぜひ夫婦で1週間の買い物量を振り返ってみてください。
「うちには必要かも」「なくても大丈夫かも」の答えが、きっと見えてきますよ。

——家づくり夫婦ラボでは、家づくりで夫婦の意見がぶつかったときの「すり合わせ方」を、
元ショールームコーディネーターの視点からお届けしています。
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